虐待を受けた子どもの保護後の生活を支える活動

~虐待を受けた子どもの保護後の生活を支える活動~ 【2010年5月号】

                                             弁護士  杉   浦   宇   子


 以前にもお話しました、私が関わっているNPO法人子どもセンターパオ
http://www.pao.or.jp/のお話をさせていただきます。

 パオは、現在、子どものシェルター「丘のいえ」を運営していますが、「丘のいえ」開設後すぐから、シェルターから次の行き先が、日本の社会の中にはあまりに少なすぎるという問題にぶつかっています。


 幼い頃に虐待が発見されて保護された子どもたちには、乳児院や児童養護施設や里親など比較的生活の場を確保しやすいようですが、中高生やそれ以上の年齢くらいで虐待が発見されて保護され、親元に戻せないような子どもたちは、なかなか行き先が確保できず大変つらい状況に陥ってしまうことが少なくありません。大人でも、生活の先行きが見えないと不安になりますから、親を頼れない子どもなら尚更です。

パオでは、そんな子どもたちが、休息や学習や治療やアルバイトなど、自立に向けての自分なりのテーマに取り組みながら安心してある程度長期間生活できる「グループホーム※1」や、「自立援助ホーム※2」がどうしても必要だということがずっと懸案事項となっていました。本来行政による十分な対応が為されるべき問題ですが、それを期待できず、また、待っていられない状況が現実に存在します。「ないなら作っちゃえ!!」と思いながらも、これらの施設を立ち上げるには、建設・内装費用や、人件費等維持費の確保等の点で、高いハードルがあり、悲しいことに、今のところ実現されていません(T_T) 日々子どもたちの辛い現状に接するパオのメンバーたちの気持ちは焦るばかり・・・・。

  ところが何と、今、とあるパオを支援下さる方からの働きかけがきっかけとなり、グループホームに利用できそうな物件を確保できそうな状況になってきたのです!!! 何とかこの機をつかまえて、グループホームを始動させて、安定した生活基盤を得られずに彷徨う子どもたちを少しでも支援したい!!! パオは、今年、この目標に向けて、子どもたちの困難な現状を理解してもらい広く支援を得られるよう活動しようと燃えています。

  まずは、この5月29日土曜日に、アスナル金山にて行われる「みんなの祭り無礼講」(
http://www.bureikou.jp/)というイベントで、ブースをもらって広報活動を行います。お時間のある方は、お立ち寄りいただけるとありがたいです。

1 生活に困難を抱えた子どもたちが、専門スタッフ等の援助を受けながら、小人数、一般の住宅で生活する社会的養護の形態のことです。
2 家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳までの青少年達に暮らしの場を与える施設です。