修習生の給費制について

修習生の給費制について ~署名活動にご協力を!~ 【2010年7月号】

                                              弁護士   榎   本        修

○司法「修習生」とは?
  私たち弁護士は、司法試験に合格した後、1年間(私のころは2年でしたが最近短くなりました)司法修習という「研修」を受けます。
  弁護士だけでなく、裁判官や検察官の卵も同じ研修を受けます。
  私も、裁判所で修習を受けました。裁判官がどのようなことを考えて判決を下すのか、裁判官の評議(合議といいます)はどのように行われ、検事はどうやって被疑者の取調べをするのか。実際に、名古屋地方裁判所や名古屋地方検察庁で研修を受けてきました。

 

○給費制の廃止・その問題点
  これまで修習生全員に対して、給与が支払われてきました(給費制)。これが、今年の11月から必要な者に対し生活資金を貸し付ける制度(貸与制)に切り替わります。しかし、今の多くの修習生たちは、法科大学院(ロースクール)を卒業する段階で多額の借金を負っています。
  日本弁護士連合会(日弁連)が昨年11月に行ったアンケートでは、回答者である修習生の1528名中807名(52.81%)に法科大学院で奨学金による借金があり、最高で合計1200万円、平均で318万円に上りました。
  修習費用の貸与制が導入されれば、これに約300万円の借金が上乗せされることになります。これでは、「お金持ちでなくては法律家になれない」ということになりかねません。
  私自身、普通のサラリーマンの家庭に育ちました。こんなに多額の借金をしないと弁護士になれないなら、親から「弁護士なんてやめておけ」と止められたかもしれません。

○署名活動にご協力を!
  今まで、私たち法律家は、給費制によって、自分の法律家の資格は国民の負担において与えられたものだという深い使命を自覚してきました。
  非常に厳しい財政状況の中、国民の皆さんに負担を強いる話で申し訳なく思います。しかし、もし、今回給費制が存続することになったら、私は、今まで以上に、皆さんや世の中のために役立つ存在となるべく、一生懸命働く考えです。
  11月までに裁判所法を改正すれば、給費制は維持されることになります。臨時国会での議決を目指して、日弁連http://www.nichibenren.or.jp/・愛知県弁護士会http://www.aiben.jp/は、緊急対策本部を設置しました。私は、愛知県弁護士会の対策本部の委員となっています。
  今回のニュースレターに署名用紙を同封させていただきました。この署名は、法律上、憲法や請願法という法律に基づく「請願」として取り扱われます。もし、このレターの趣旨にご賛同いただけるのであれば、同封いたしました返信用封筒で7月末までに御返送いただけると大変ありがたいです。
  また、ご相談を受けさせていただくときに、直接署名のお願いをすることもあると思います。趣旨をご理解いただき、署名にご協力いただけますようお願い申し上げます。