特殊詐欺に要注意(亀村恭平弁護士)
特殊詐欺に要注意 【2018年12月号】 弁護士 亀 村 恭 平
1 はじめに
「特殊詐欺」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「特殊詐欺」の一類型を示す「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」の方が知名度はありますが、金銭交付の方法が振込に限られず、詐欺の方法として息子を名乗るだけではないことから、総称して「特殊詐欺」と呼ばれています。今回は、特殊詐欺の手口や対策方法をご紹介します。
2 具体的な特殊詐欺の手口
① オレオレ詐欺
被害者の息子等を名乗って、交通事故を起こした、会社の金を無くしてしまった等の理由で急遽金が必要になったとして金銭を請求する詐欺です。
② 架空請求詐欺
インターネット利用料の未払があるなどの理由で金銭を請求する詐欺です。すでに訴訟が始まっている、支払わないと犯罪になるなどと言って危機感をあおり、アダルトサイトの利用料名目とすることで家族等に相談しにくい状況にするといった特徴があります。
③ 還付金詐欺
役所、税務署を名乗り、保険料や税金の還付があるといってATMに誘導し振り込ませる詐欺です。関西ではオレオレ詐欺の被害は少なく、還付金詐欺の被害が多いというデータがあるようですが、金銭を支払うことには注意しても、金銭を受け取る側になると警戒心がなくなる心理を利用した詐欺です。
3 簡単な対策方法
① 電話番号を確認する
オレオレ詐欺のように電話を用いた詐欺であれば、表示される相手の電話番号を確認することが重要です。また、一度電話を切って確認することで、落ち着いて判断したり、誰かに相談するきっかけにもなります。
ただし、オレオレ詐欺の場合に、息子の携帯電話以外からの電話であることを怪しまれないために「携帯電話を入れた鞄を無くしてしまったため上司に電話を借りている」といった設定にする例もありますので注意が必要です。
② ATMに行かない
振り込め詐欺という名称からもわかるように、典型的な金銭の授受は振込ですので、自らATMに行かなければ振込方法による詐欺被害は回避できます。
ただし、ATMによる振込に限らず、自宅まで現金やキャッシュカードを取りに来る、現金を宅急便やバイク便で送らせる、コンビニでアマゾンギフト券などのカードを購入させてコード番号を聞き出す、コンビニ収納代行を用いて代金の支払いをさせるなど、振込以外の方法も増えていますので注意が必要です。
4 最後に
平成29年の特殊詐欺による被害総額は約394.7億円と莫大です。改めて周りの方に注意を促していただくようお願いいたします。