みかじめ料って何?(亀村恭平弁護士)

みかじめ料って何?  【2017年5月号】

弁護士  亀  村  恭  平


1 みかじめ料とは?  

 「みかじめ料」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「みかじめ料」とは、暴力団が縄張内で営業を営む者に対し、名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として支払わせる金品等をいうもの、あるいは守料、用心棒代的な意味をもたせて支払わせる金品等をいうものとされており、暴力団の資金源となっています。

2 みかじめ料を支払うとどうなる?  

 多くの地方公共団体で暴力団排除条例が施行されており、愛知県でも愛知県暴力団排除条例が施行されています。  
 たとえば、愛知県暴力団排除条例では、 ①事業者が暴力団員等に金品を渡すこと ②特定接客業者(風俗営業、飲食店営業、特定風俗案内業等を営む者)が暴力団員を用心棒として利用し、トラブルを解決すること ③特定接客業者が、暴力団員に対し用心棒代を支払うこと を禁止しており、これらの場合には、みかじめ料等の金品を渡した側にもペナルティーがあります。  
 また、一般的な「みかじめ料」のイメージとしては、②や③のように風俗営業や飲食店営業を営む者に対して暴力団員からの要求があり、営業を続けるためにやむを得ず暴力団員に金銭を支払う姿が想像されると思います。しかし、暴力団排除条例では風俗営業や飲食店営業に限らず事業者が暴力団員等に金品を渡すことを禁止しており、事業者である以上は業種を問わず対象となりますので、注意が必要です。  
 また、過去には某メガバンクが暴力団員に対して融資をしたことが問題となった事例もあります。相手の要求が金品の交付ではない場合であっても、暴力団への利益供与とならないかという点には注意していただく必要があります。

3 みかじめ料は取り返せる?  

 件数は多くありませんが、全国でみかじめ料に関する訴訟があります。  
 浜松の事件では、暴力団員との間で締結した広告掲載契約に基づく広告料の支払いについて、実質はみかじめ料であると判断し、契約が無効であるとして支払った金銭の返還請求を認めました。  
 広島の事件では、工事代金の1割を支払うかわりに工事を妨害しないとの契約について、犯罪行為をしないことを約束する契約は無効であるとして、支払った金銭の返還請求を認めました。  
 また、つい先日には、みかじめ料徴収行為が不法行為であるとして、組員及び山口組の代表者に対する損害賠償請求を認める名古屋地方裁判所の判決が確定しました(私も弁護団の一員です)。   

4 最後に  

 暴力団相手に限らず、一度支払った金銭を取り返すことは大変な労力が必要です。  
 暴力団によるみかじめ料の要求やクレーマーによる不当要求に対しては、毅然とした態度で要求には応じないことが最優先です。初動が重要ですので、対応にお悩みの際にはお気軽にご相談ください。