芸人の闇営業と法律問題(弁護士亀村恭平)

芸人の闇営業と法律問題【2019年7月号】 弁護士 亀村 恭平

 

1 はじめに

昨今、芸人の闇営業問題が世間を賑わせています。今回は、闇営業問題に関する法律問題をご紹介したいと思います。

 

2 反社会的勢力との関係

 闇営業問題の最大のポイントは、金銭を受け取った相手が特殊詐欺グループや暴力団だったという点です。

 この点に関する規制として、暴力団排除条例における利益の供与等の禁止があります。しかし、暴排条例は暴力団員であることを知りながら行う利益供与を禁止するものですので、報道されているとおり暴力団員であることを知らなかったというケースでは規制対象となりません。金融機関などは、取引の際に反社会的勢力では無い旨の表明確約書を書かせていますが、契約解除の手段だけでなく、知らなかったことを証明する手段としても有用です。

 また、暴排条例上の利益供与にはあたらない場合であっても、反社会的勢力との交際自体が契約解消の理由となることがあります。闇営業問題でいえば、スポンサー離れや、プロダクションとの契約解除という結果につながります。また、一般の企業においても、暴力団との交際を理由とした入札からの排除や、取引先からの契約解除は十分考えられます。

 

3 競業避止、兼業禁止の問題

闇営業問題では反社会的勢力の会合であった点が強調されていますが、反社会的勢力の会合でなければ許されるわけではありません。報道の限りでは、芸人と会社の間に契約書がないといった情報もあり、契約関係は定かではありませんが、契約関係が明確であり、競業禁止等のルールがあれば、当該ルールに違反したことによる処分を受けることも考えられます。一般の企業であっても同様であり、在職中に競業会社を設立する行為や、競業する内容の副業などが問題となります。

 

4 税務上の問題

 闇営業問題では当初金銭を受け取ったか否かも争点となっていましたが、金銭の授受は認めているようです。他方で、事務所を通じて修正申告を行ったとの説明がなされた一部の芸人を除いて、納税の点についてはあまり明確にされていません。所得がある以上税務申告が必要となりますので、金銭の授受があるにもかかわらず税務申告がなければ脱税となる可能性もあります。

 このような税務上の問題は副業全般にいえることです。会社の許可を得て副業をしている場合であっても、税務の面には注意していただく必要があります。

 

5 最後に

 これまでご紹介したように、闇営業問題に関連する法律問題は芸能界に限った話ではなく、一般の企業においても同様に問題となり得ます。

 同種の事案については、問題を生じさせないことが最も重要ですが、問題が発生した場合の対応によってもその後の展開が大きく異なります。具体的には、暴力団との交際を理由に公共工事からの指名停止を受けた業者が、弁護士等の関与によりホワイト化に成功し、指名停止措置を解消した例もあります。