労働審判制度
労働審判制度 【2007年3月号】
「労働審判制度」という制度が、平成18年4月1日からスタートしました。労働審判制度とは、個々の労働者と使用者との間でトラブルが発生したときに、これを簡易迅速な手続で解決する裁判所の手続のことです。
具体的には、解雇や労働条件の切り下げ、配置転換などを巡って会社と個々の従業員の間でトラブルになったとき、裁判所に労働審判の申立をすると、裁判官1名と労働関係の専門的な知識経験を有する民間の人2名(労使双方から1人ずつ)の合計3名がこの手続を担当し、裁判所で、原則として3回以内の期日で審理し、解決を図ることとされています。手続の途中で、調停(和解)での解決も柔軟に行われることになっており、また、調停(和解)が成立しない場合には、原則として、3回目の期日には裁判所から審判(紛争についての判断・結論)が出されることになっています。
労働審判制度がスタートする以前でも、労使間の紛争で「訴訟」や「調停」などは当然可能でしたが、訴訟には通常、終結まで長期間を要することが多く、コストがかかるというデメリットがあり、また調停も話し合いの手続に留まり、話が決裂したときに裁判所が結論を出してくれるわけではないという点で不十分な側面がありました。
この点、「労働審判制度」は、原則3回以内と比較的迅速に手続が進むこと、話し合いによる和解解決もできるが、協議が決裂したとき、最後は裁判所が「審判」という形で当該紛争に対する結論・判断を出してくれると言う特徴があります。
解雇や退職などを巡って従業員とトラブルとなり、話し合いをしたが、なかなか解決が図れないというときに、この労働審判制度を使うということも、選択肢の一つになると思います。