暴力団排除条項
「暴力団排除条項」の導入を考えてみませんか【2011年5月号】
(1)暴力団排除条項とは?
「暴力団排除条項(暴排条項)」という言葉をご存知でしょうか。暴排条項とは、取引の相手方が暴力団などの反社会的勢力である場合に、取引を拒絶しやすくするために契約書などに設けられる条項です。
暴排条項が役立つ場合として、①事前に取引拒絶をするケース、②事後に取引を解消するケースがあります。
①事前に取引拒絶をするケース
契約締結前であれば、契約自由の原則により、契約を拒絶することは自由です。しかし、実際に暴力団などが契約締結を求めてきた場合、契約を拒絶するには精神的な後押しが必要となります。
そのような場合、暴排条項があることで暴力団が取引に参入することをためらう可能性があります。また、「暴排条項がありますので」という理由で取引を拒絶しやすくなります。
②事後に取引を解消するケース
取引開始後に、取引相手が実は反社会的勢力だと判明した場合、暴排条項がなければ一般的な解除事由(賃料の不払いや売買代金の不払いなど)を理由に解除を求めることになります。しかし、取引相手が支払をするような場合には、一般的な解除事由がなく取引を解消できないということも考えられます。
そのような場合、暴排条項があれば、「反社会的勢力であること」が解除事由になります。
(2)暴排条項の定め方は?
①約款で定めるという方法があります。しかし、約款の内容を了解した上で契約を結んだかという点が争われる場合もあるので注意が必要です。
②次に、新規契約や契約更新の際に新たに暴排条項を盛り込んだ契約書を作成するという方法も有効です。
③また、契約書とは別に、「暴力団などの反社会的勢力とは関わりがない」旨を誓約する書面の提出を求めるという方法も考えられます。
以上、暴排条項について簡単にご説明しましたが、今回このテーマを選んだのは、問題の重要性に加え、私が弁護士会の「民事介入暴力対策特別委員会」に所属しているためでもあります。
「もっと詳しく知りたい」、「暴排条項の導入を検討したい」といったご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。