勝訴判決後の手続

~実は難しい 勝訴判決後の手続~【2011年9月号】

弁護士   亀   村   恭   平


1 金銭を貸している、売掛金があるなど、相手に対して権利を有し
ていても、相手が支払わないのに自ら強制的に回収することはできません(自力救済禁止の原則)

2 そのため、訴訟提起に代表される方法により権利の実現を図る
必要があります。
 弁護士名で内容証明郵便を送る、あるいは訴訟を提起することによって相手方が任意に支払うことも多いですが、それでも支払わない場合には、勝訴判決を得て裁判所の強制力で回収することになります。

3 訴訟においてまずは勝訴判決を得ることが目標ですが、今回は
勝訴判決を得た後の手続のうち、預金債権からの回収に関する新しい試みについてご紹介します。

4 銀行制度が発達した現代では、金銭の回収を図る際に預金債権
を差し押さえるという方法がよく利用されます。
 しかし、一般的には支店まで特定して裁判所に申し立てをする必要があるため、「住所地の近く」、「勤務先の近く」などを根拠に選択しますが、多数存在する支店から絞り込む必要があり、支店の特定が「実は難しい」のです。

5 そこで、近時「支店を特定しない預金債権の差押」が検討されて
います。これは、従来「○○銀行△△支店」まで特定していたものを、「○○銀行」という銀行名だけで特定し、預金債権を差し押さえるという方法です。この方法であれば、支店名を特定しなくて済むようになるため債権差押の可能性は格段に上がると考えられており、否定した裁判例もありますが、一定の要件の下で差押を認めた裁判例も複数存在します。

6 最高裁の判断は出ていませんので、最高裁がこれを否定してし
まえば今回ご紹介した内容は無駄になってしまう可能性もあります。しかし、新たなご相談に対応すべく常に研鑽を積んでいますので、お悩みの点がございましたら、まずはお気軽にご相談いただければと思います。