子どもの手続代理人制度
子どもの手続代理人制度について【2013年3月号】
1 家事事件手続法が施行されました。
家庭に関する事件(家事事件)の手続を定めていた法律(家事審判法)が全面改訂され、新たに家事事件手続法が制定されて、平成25年1月1日に施行されました。
家事審判法は、昭和22年に制定されて以降、時代の変化にもかかわらず、大きな改正もなされずにきていましたが、今回の手続法制定により、家事事件に関する手続が現代社会に合った内容になるよう整理されました。
近年、手続によって影響を受ける当事者等が手続に主体的に参加する権利の保障の重要性がますます意識されるようになり、この点を重視した見直しや制度の創設も行われています。
2 子どもの手続代理人制度が、新しく制度化されました。
家庭裁判所では、離婚に伴う親権者の指定、離婚後の親権者の変更、面会交流、子の監護者指定など、子どもの利益に直接大きく関わってくる問題について決定する事件も扱われます。
「子どもの権利条約」では、子どもに関するすべての措置をするにあたっては、裁判所で行われるものであっても、子どもの最善の利益が主として考慮される(3条1項)とし、子どもが意見表明の権利を有し、その意見は、その成長段階に応じて相応に考慮される(12条)ものであることを定めています。
これまでも、家庭裁判所の調査官(紛争の原因や背景を調査すること等を職務とする裁判所職員)による調査の中で、紛争に関わる子どもの意向を聴取されることもありましたが、子どもの側から意見を積極的に表明する権利は制度上担保されていませんでした。今回の家事事件手続法では、更に進んで、子どもの正当な利益を手続的に保証するものとして、子どもの手続代理人制度を設けました。なお、子どもの手続代理人となるのは、弁護士に限られています。
家庭裁判所調査官による調査では、子どもは調査の客体の地位にすぎませんでしたが、子どもの手続代理人となった弁護士は、裁判所や他の当事者から独立した子どもの立場から手続参加(意見表明や提言等)することになります。
子どもの手続代理人は、裁判所から独立した地位を有するので、子どもに手続の現状に関する情報を制約なく与えることができ、子どもとの自由なコミュニケーションの中で、子どもから質問を受けたり、自発的な意思を伝えられたりすることも可能となり、専門家としての見通しを踏まえた助言もでき、子どもの立場からの調停案の作成や提言等による参加も期待されています。
3 子どもの手続代理人をつけるにはどうしたらいいの?
子どもの手続代理人は、子どもが任意に代理人を選任することもできます。この他に、家庭裁判所に子どもの手続代理人選任を申立てて、裁判長が必要と認めるときに手続代理人を選任したり、裁判所が相当と認めるときには、職権で手続代理人を選任することもできるとされています(法23条)。
子どもが手続参加をしたいというときには、まずは、愛知県弁護士会の子どもの人権相談窓口 https://www.aiben.jp/soudan/soudannaiyou/kodomo/index.html でご相談下さい。
また、既に裁判所調査官が関わっているときは、調査官に相談してもよいと思います。