ぼったくり防止条例をご存じですか?(亀村恭平弁護士)
ぼったくり防止条例をご存じですか? 【2017年12月号】
1 はじめに
「ぼったくり」という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。今回は、平成29年7月1日に愛知県で施行されたぼったくり防止条例についてご紹介します。
2 ぼったくり防止条例とは?
ぼったくり防止条例の正式名称は、「酒類提供等営業に係る不当な勧誘、料金の不当な取り立て等の規制等に関する条例」です。このままだとわかりにくいので、通称として「ぼったくり防止条例」と呼ばれています。
具体的な規制内容としては、
① 料金等の表示義務
② 不当な勧誘等の禁止
③ 料金等の不当な取り立ての禁止
④ 客引きを受けた客の立ち入らせの禁止 などがあります。
これらの規制に違反した場合、県内全域で行政処分の対象になるほか、特別区域として定められた錦三丁目や栄地区の一部での違反は懲役や罰金の対象にもなります。
3 ぼったくり被害に遭わない方法
ぼったくり被害に遭わない唯一の方法は、「外で一切酒を飲まない」ことですが、現実的には困難です。そこで、ぼったくり防止条例の内容を踏まえ、ぼったくり被害に遭わない方法をご紹介します。
① 客引きについていかない
ぼったくり防止条例では、客引きを受けた客の立ち入らせ自体を禁止しています。そのため、客引きが連れて行く店舗である時点で、ぼったくり店舗である可能性が高いといえます。警察も繁華街で広報していますが「客引きについていかないこと」は最大の自衛策になります。
② ぼったくり被害防止アプリ
ぼったくり防止条例の施行により、条例に違反して行政処分を受けた店舗がインターネット上に公表されるようになりました。また、「アイチポリス」で検索すると、ぼったくり被害防止アプリをダウンロードすることができ、行政処分を受けた店舗を地図上で見ることが出来ます。
自分で店を選ぶ際には、インターネット検索やアプリを用いることで、少なくとも過去に処分を受けたぼったくり店舗に自ら飛び込むことは回避できます。
4 最後に
ぼったくり被害は一度支払ってしまうと回収が困難です。また、以前はぼったくり店舗が要求する金額を支払うまで帰ることができず、「民事不介入」を理由に警察も出動しないため、現場に長期間拘束されることもありましたが、現在では警察もぼったくり被害の防止のために出動することが一般化しています。不当な要求を受けた際には警察に通報してください。
また、ぼったくり防止条例施行や取り締まりの強化を受けて、最近では通常の金額に少額を上乗せする「プチぼったくり」も増えていますので、十分注意していただければと思います。