BCPを策定していますか(今井千尋弁護士)

BCPを策定していますか  【2018年3月号】

弁護士  今  井  千  尋



平成30年3月11日に東日本大震災からちょうど7年となりましたが、東日本大震災以降、様々なところで企業にとってのBCPの重要性が語られています。そこで、今回は、BCPについてご紹介したいと思います。

1 BCPとは

BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)とは、内閣府HP「防災情報のページ」(http://www.bousai.go.jp/)によれば、災害時に特定された重要業務が中断しないこと、また万一事業活動が中断した場合に目標復旧時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴う顧客取引の競合他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守るための経営戦略をいいます。この定義自体から企業にとってのBCPの重要性がご理解いただけることと思います。

2 BCPの策定状況

内閣府の「平成27年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によれば、平成27年度のBCPの策定状況は次のとおりとなっており、比較的事業規模の小さい企業の取組が遅れていると言えます。

①大企業  
 策定済みである=60.4%
 策定中である=15.0%
 策定を予定している=16.4%
 策定予定はない=5.1%
 BCPとは何か知らなかった=2.2%
②中堅企業
 策定済みである=29.9%
 策定中である=12.1%
 策定を予定している=30.2%
 策定予定はない=18.3%
 BCPとは何か知らなかった=7.0%

3 BCPの内容

BCPで何を定めるかについては、一般的には、緊急時の指揮のあり方(権限委譲を含む)、顧客への対応方針、通信体制、コンピュータのバックアップシステム、設備や原材料等の代替等が言われています。具体的な策定例については紙面の都合上記載することができませんが、前記「防災情報のページ」をはじめ、インターネット上で策定例が数多く公開されていますので、同種企業のものを中心に参照し、ヒントとしていただければと思います。

4 BCPの見直し

企業を取り巻く環境は日々変化していますので、実際に災害が発生した場合にBCPを機能させるためにはBCP策定後も常に見直しをすることが必要です。一般に計画や戦略を見直す際にはPDCAサイクルを経て見直しが行われますが、BCPの場合、D(Do)は災害発生時の実践ですので、通常はDのプロセスがありません。そこで、Dに代わるものとして訓練が重要になります。BCP策定後も、本番さながらの訓練を行ってその時々の状況に応じたものにブラッシュアップする必要があります。

5 まとめ

人間は、災害が発生するか否かをコントロールすることはできませんが、災害の発生に備えることはできます。