「営業秘密」の保護【2003年9月号】

 

弁護士 安 田   剛


 企業の顧客に関するデータや販売に関するデータなどの保護に関しては、不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるかどうかが重要です。

 不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるためには、①秘密管理性、②有用性、③非公知性の3つが必要です。このうち特に問題となることが多いのは、①秘密管理性の要件で、営業秘密にアクセスできる者を企業経営上必要最小限度の人員に限ったり、営業秘密に関する資料の持ち出しやコピーを管理し、営業秘密にアクセスする場合には申請や許可、パスワード等を必要とするなどの措置をとることが必要となります。

 「営業秘密」といえるためには以上のような要件が必要なこともあり、経済産業省のホームページを見ると約6割の企業が営業秘密の保護は不十分と感じているようです。
 そのため、経済産業省も、「営業秘密管理指針」(http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0003613/ – 8k)を策定して、企業の参考となるよう、営業秘密の管理の指針を示しています。
 また、来年(2004年)1月から施行される改正不正競争防止法では、「営業秘密」の刑事的保護の強化が図られ、また損害額の推定や不正行為の立証の容易化など民事面での保護も手厚くなっており、「営業秘密」の保護強化が一定の範囲で図られています。