M&Aについて(榎本修弁護士)

M&Aについて  【2019年3月号】  弁護士 榎 本    修

 

 当事務所でも、最近、M&Aのご相談が増えてきました。

 会社を売る側もありますし、会社を買う側でのご相談もあります。

 

(1)事業承継対策としてのM&A 

 「企業買収」というと、昔は非常に特殊な事柄のようなことに思われていましたが、最近は中小企業・大企業を問わず、会社の買収・合併などが盛んに行われるようになってきています。

 その中でも特に「後継者不足」「事業承継」を理由としたM&Aが増えています。中小企業庁発行の「中小企業白書(2018年版)」では「事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加傾向にあ」り、「M&Aは買い手側の中小企業にとっても、相手先の企業との間でシナジーを発揮することで生産性を高める契機となっている」としています。

 

(2)M&Aが用いられる業種・規模

 昔はM&Aというと、限られた業種の大企業が行う(例えば、東海銀行と三和銀行、UFJ銀行と東京三菱銀行の合併など)というイメージでした。しかし、最近は非常に様々な規模、業種のM&Aが行われるようになっています。

 2018年の中小企業白書を見ますと、2017年調査によると実際にM&Aを実施したことがある中小企業は11.6%と必ずしも多くはないが、①直近のM&Aの実施時期は「2015年以降」との回答がが最も多く「足もとでM&Aが盛んになっている」こと、②M&Aの実施件数も「1件」との回答が最も多いものの、複数回実施している企業が約4割を占めているとされており、最近急激に増えてきたばかりか、一度M&Aを行った(特に買手側でM&Aをした)企業は、その良さに触れ、リピーターのように繰り返しM&Aをしていることが分かります。

 

(3)買手側のメリット

 なぜ、そのような「リピーター」が現れるのでしょうか。買手側としては、事業分野やエリアの拡大を図りたい場合にM&Aを使うことになります。一から新しい分野やエリアに自ら組織を構築するよりも、より早く安定した営業を営むことができる点が魅力です。いわばM&Aによって成長のための「時間を買う」という側面があります。

 

(4)法律上のリスクなど

 一言にM&Aと言っても、法律的には①合併だけでなく、②会社分割、③株式譲渡や株式交換など会社法上の様々な手法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。またM&Aは企業同士の一種の「結婚」ですから、様々な法律関係(従業員との雇用契約や事務所工場等の賃貸関係、特許権などの知的所有権など)をまとめて承継することになり、そこに欠けている点や問題がないかなど法律上のリスクを十分に検討する必要があります。そのためには、デュー・デリジェンス(DD)を限られた時間で的確かつ効率的に行い、そのリスクを十分踏まえた対処をしたり、買収価格に反映させたりしてゆくことが必要です。