刑事事件

刑事事件について~突然、逮捕されたら~【2010年11月号】

弁護士  安  田      剛


Q 当社の従業員が刑事事件を起こしたため逮捕されました。
いつまで身柄拘束されるのでしょうか。


 警察官に逮捕された場合、逮捕されてから48時間(2日間)以内に検察官に事件が送致されます。これを俗に「送検」と呼ばれますが、法律上の用語ではありません。警察官から事件送致を受けた検察官は、送致を受けてから24時間(1日間)以内に身柄を釈放するか、裁判官に勾留請求するかを判断します。

 検察官が裁判官に勾留請求し、裁判官が勾留を認めた場合、10日間の身柄拘束が続き、更に勾留の延長が認められれば合計で20日間身柄拘束を受けることになります。

 「2日間+1日間+20日間」の最長23日間の間に、検察官は起訴して裁判にするか、起訴せず身柄を釈放するかを判断します。

 仮に検察官が起訴し裁判が始まる場合、保釈されない限り、刑事裁判を受ける間、数ヶ月以上身柄拘束が続くことになります。

 このように逮捕された後、どのくらい身柄拘束の期間が続くかはケースバイケースであり、数日間で釈放される場合もあれば、数ヶ月以上続くこともあります。

Q 事件が新聞にも掲載されました。当社としても迷惑ですので、
従業員は解雇したいと思います。問題はないでしょうか。

 従業員(特に正社員)の解雇は、常に有効とは限りません。「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、解雇権を濫用したものとして、無効となります。従業員の起こした事件が、会社の業務に関係する犯罪行為(例えば会社の金銭を横領した等)であれば、まだ、解雇も有効と認められる可能性がありますが、従業員の私生活上の行動であれば、基本的には会社の業務とは関係ありませんから、これを理由に解雇した場合、解雇権の濫用として無効となる可能性があります。

 従業員が逮捕されるような事態が発生しないことが、最も望ましいですが、もしそのような事態が発生した場合、会社としてどのような対応をすべきか、様々な観点から検討する必要がありますので、事前に弁護士によく相談されることをお勧めします。