裁判員制度について【2004年3月号】

 

弁護士 安 田    剛

Q.テレビで「裁判員制度」という言葉を聞きましたが、これはどんな制度なんですか?
 裁判員制度というのは、20歳以上の人から無作為抽出で選ばれた「裁判員」が、裁判所の裁判官と一緒に、実際の刑事事件の裁判について、審理や判決を行うという制度のことです。
 今の政府の法案では、一つの事件に原則として裁判官3人に対し裁判員が6人選ばれ、刑事事件の裁判を担当するということになっています。

Q.「裁判員」に選ばれたら具体的には何をするのですか?
 裁判所で開かれる刑事事件の裁判に、最初から最後まで出席する必要があります。刑事事件の審理を見て、起訴された事件について被告人が有罪なのか無罪なのかを決めたり、被告人が有罪の場合には被告人に対する刑罰の内容(量刑)を決めたりすることになります。
 裁判員は裁判内容について守秘義務を負うため見聞きした内容を第三者に話すことは許されず、違反に対する罰則もあります。

Q.何か「裁判員」に選ばれるととても大変そうですね。出来ればやりたくないのですが、裁判員を辞退することはできないのですか?
 原則として辞退できないですが、仕事や育児・介護などを理由として裁判員を辞退することも認められるようです。ただ、簡単に辞退することを認めたのでは裁判員制度導入の意味がないとして批判もあるところで、どのような場合に裁判員を辞退できるのかは、まだ確定的には決まっていません。

Q.裁判員制度はいつころから始まるのですか?
 今月(平成16年3月)、裁判員制度を導入する法律案の国会での審議が始まったところですので、始まるのは何年か先になるでしょう。