ぼったくりにご注意【2023年12月号】弁護士亀村恭平

 

1 はじめに

 最近、特殊詐欺や強盗、ホスト被害などの報道が多数なされていますが、それらのニュースに隠れて実はぼったくり被害も増えています。

2 どれくらい増えている?

 報道によると、愛知県での2022年の名古屋栄地区でのぼったくり被害の相談件数が20件であったのが、2023年は11月までで116件に増えています。

 また、一時期は「プチぼったくり」と言われる実際の料金よりも数千円から数万円高い相談も増えていましたが、2023年は最高額で760万円を請求された事案もあるようです。

 店舗側が「プチぼったくり」をするのは、被害者が被害申告をためらうような金額にすることが目的なのではないかと考えられますが、このような高額のぼったくりが増えているのは、白昼堂々の宝石店への強盗などが増えているのと関連性があるのかもしれません。

3 客引きに注意

 ぼったくりの典型例としては、「一人3000円でいいですよ」などと客引きから声をかけられて店舗に入ったところ、「3000円の料金に含まれていない飲み物を注文した」、「女性店員の飲み物は別料金」など、気づいたら高額な請求をされたというものです。実際に、ぼったくり被害相談の9割が客引きを利用して入店しているというデータもありますので、客引きについていかないというのがぼったくり被害にあわないための最善の方法です。もっとも、このように普段は客引きを警戒していても、泥酔状態の客を狙って客引き行為がされた場合判断能力が落ちていることも考えられますので、飲酒量にも注意していただければと思います。

 ちなみに、愛知県には酒類提供等営業に係る不当な勧誘、料金の不当な取り立て等の規制等に関する条例(ぼったくり防止条例)があり、そもそも客引き行為自体を禁止していますので、その点からも客引きについていくことが問題であることがわかります。

4 客引き以外の注意点

 客引きについていかないことを前提として、自ら店舗を選ぶ際にも注意点があります。

 もともと通っている店があれば、知らないうちに経営者が変わったというような例外的な場合でない限りぼったくり被害にあることは考えにくいため、そのような店を選ぶのが最善です。

 また、愛知県警察はぼったくり防止条例に違反した店舗をインターネット上でも公表しています。全てのぼったくり店舗が載っているわけではないことや、店名を変えて営業している可能性もあることなどから、公表がなければ問題がない店舗というわけではないですが、店を選ぶ際の参考にはなります。

5 最後に

 ぼったくり被害にあわないための注意点はこれまでご説明した通りですが、ぼったくり被害があることを認識するだけでも被害防止の効果があります。皆様も、飲み会に参加する際には、ぜひ注意してていただければと思います。